みほしブログ

趣味は生活と読書。

女系四代、愛すべきうっかりした生涯―『乙女の家』朝倉かすみ

読み終えての第一声は「ずっるーい……」だった。朝倉かすみはずるい、ずるすぎるほど巧みなんです。そしてこの小説を好きにならない人間がいるだろうか(反語)。 『乙女の家』は「うっかりした生涯を送ってきました。」という一文から始まる。文学ズレした輩…

みんなのごはんお題キャンペーン「思い出レストラン」の最優秀賞をいただきました。

もう2週間も前の話なんですが、 思い出のレストランと、そのエピソードを書こう! blog.hatena.ne.jp ぐるなびの情報サイト「みんなのごはん」とはてなブログ共同のお題キャンペーン「思い出レストランと、そのエピソードを書こう!」に応募したところ、 ほ…

真剣にふざけるには強靭な文体が必要です。―『金を払うから素手で殴らせてくれないか?』木下古栗

木下古栗は、真剣に、不断の努力によって、ふざけることができる強靭な作家だ。『金を払うから素手で殴らせてくれないか?』は三つの中編が収められていて、そのどれもが徹底的にふざけている。 表題作は、失踪した米原を米原含む同僚三~四人(推定値)でフ…

伊豆で食べることについての記憶―のびるやあわび、レストランジュピターなど

もう20年も前、私が中学に上がるくらいまで、夏休みやゴールデンウィークは父と母と5つ離れた妹と伊豆高原の別荘で数日過ごすことが習わしだった。 伊豆高原での日々は近くに住む私たち姉妹と同じ年頃の兄弟と遊んだり、大室山を散策したりすることも楽しか…

好きって言いたい!

私は10年来のフィギュアスケーターの髙橋大輔さんのファンである。いや、ファンっていうと言葉が軽すぎて違和感がある。敬慕と崇拝が一周回って彼の演技を繰り返し見ることは苦痛ですらある。ソチオリンピックの演技は生放送と、その後ずいぶん経ってから1回…

「やればできる」なんて大嘘、必要なのはやめる勇気。司法試験に20代の9年間を費やしたからこそ言えること。

書店に平積みされている自己啓発書を手に取ると、眩暈を覚えるほどポジティブな言葉が溢れています。 「失敗なんてない、今は成功の過程にいるだけ」「なんだってやればできる、努力あるのみ」 本当にそうでしょうか? 私は大学三年生のとき弁護士を目指して…

ちきりんさんのお茶会に参加してきました。

ちきりんさんとの出会いは2012年の秋。夏から始めたTwitterに慣れてきたころ、のほほんとした口調なのに鋭くて面白いことを呟いているアカウントがよくリツイートで回ってきて、それがちきりんさんのアカウントでした。 面白そう、とフォローした直後に大規…

初心者でもこれだけでOK!絶対的おすすめレシピ本

私が料理をせざるを得ない状況になったのは中学二年生のとき。それまでほぼ母のごはんで育っていたのですが、家庭の事情により母が料理どころではなくなってしまい、中二から中三にかけての夕飯は365日中350日は外食or店屋物という感じ。 それはそれで大変だ…

バレンタインチョコ没収事件—ルールはどこまで守るべきか

メリーバレンタイン! 皆さま素敵なバレンタインをお過ごしですか?私はようやく娘のバレエの発表会が終わって昼の11時まで寝て、今餃子の王将で餃子をつまみにビール飲んでるとこですよ!至福! 今年のバレンタインは当日が土曜日で学校がお休みということ…

BFをめぐる女の人生

娘がお腹にいた頃、私自身たいへん忙しく、その上ラッキーなことにつわりなし・体重ほぼ増加せず・妊娠中毒症のたぐい一切なしの健康体妊婦だったので「産休になってから色々準備すりゃいーだろ」っていう余裕っぷりで育児書の1冊も読んでいなかった。 それ…

家族をけなすのは謙遜じゃなくて悪口です。

娘のバレエの発表会を来月に控えて毎週末そのリハーサルやら話し合いやらでバタバタしてます。今回の演目は「眠れる森の美女」。 ていうか、バレエを習わせてる母たちってこんなに大変なんだね… 発表会の来賓の把握に案内、お弁当の手配に衣装の直し、当日ス…

お年玉の管理は親ではなく子どもにさせるのがオススメ。

娘が今年もらったお年玉の総額は3万7千円。 これを今年から全額、娘に渡すことにしました。 もともと四則演算ができるようになったら、お年玉は好きに使わせようと思っていたんだよね。娘は今小学二年生で、足し算引き算は大きな桁でもOK、掛け算割り算は簡…

ゲイカップルがティファニーの広告に登場で考える「反差別」戦略

言わずと知れたアメリカの宝飾ブランド、Tiffanyが新しいキャンペーン"Will you?"の広告写真に男性同性愛者のカップルを初めて起用したそうです。このおふたり、現実にもカップルだそうで美男美男♡ 他の企業でもLGBTフレンドリー(レズビアン・ゲイ・バイセ…

私たちは良き母です。

金曜日はしんどい。 仕事が終わり、ご飯を作る元気もなく、よろよろと習い事のお教室まで娘を迎えに行ってファミレスで夕ごはん食べて(だいたい同じ小学校のママ友がふたりはいて、気まずそうに会釈をかわし、テーブルのビールジョッキを見ないようにする)…

ベイマックスと「武装は正義」の国、アメリカ【ネタバレあり】

観てきましたよ、私の周りでも評価サイコーなベイマックス! いやね。 もうね。 アメリカで作られた映画でここまで現代のニッポンへのリスペクトを感じた映画は初めて観ましたよ、だいたいニッポンが出でくる映画はチャイナと混合していたり、「日本人=メガ…

自己決定と羽生くん

全日本選手権が終わり、今年のフィギュアスケートの試合もひと段落。 若手の台頭や町田樹選手の電撃引退宣言などいろんなことがありましたが、なんといっても耳目を集めたのは、グランプリシリーズ中国杯の羽生結弦選手と中国の閻涵(エンカン)選手の激突事…

招き猫はタイムカプセル

子どものころ毎夏過ごした伊豆の別荘。別荘は急な坂道のふもとに建っていて、坂の上には陶芸家の一家が暮らしていた。 陶芸家のおうちには私たち姉妹と同じ年頃の兄弟がいて、私たちは別荘に着くと坂を駆け上り、ざらざらした愛嬌のある焼き物の並ぶ小さなア…

国語の教科書に対する違和感の正体

最近Twitterで回ってきたコラムで、とっても面白かったものがある。 筑摩書房の教科書サイト「ちくまの教科書」で野中潤さんという国語教師の方が連載されている国語の教科書についての考察です。 リンクはこちら↓ ちくまの教科書 > 国語通信 > 連載 > 定番…

なぜプラスチックは食器の主役になれなかったのか?

昨日の朝、お気に入りのコップを割ってしまいました。 フランスはデュラレックス社のプリズムというやつです。 陽を浴びると光の影がきれいなところがロマンチック。 キッチンのカウンターに置こうと思ったらつるっといってパーン、ね。 それでね、このコッ…