私たちは良き母です。
金曜日はしんどい。
仕事が終わり、ご飯を作る元気もなく、よろよろと習い事のお教室まで娘を迎えに行ってファミレスで夕ごはん食べて(だいたい同じ小学校のママ友がふたりはいて、気まずそうに会釈をかわし、テーブルのビールジョッキを見ないようにする)、家に帰って部屋着に着替えたあたりで記憶がなく、午前2時過ぎ、メイクしたままのかぴかぴの顔面の不快感に刺激されはっと起きると、きちんとリビングのライトは消され、ひとりでお風呂に入ってパジャマに着替えた娘が自分のベッドで寝息を立てている。
「ママが寝ちゃって、ひとりでテレビを見てたらさみしくなって、昨日の夜少し泣いちゃった」
次の日の朝、娘がはにかみながら私にそう言った。
「良き母」ってなんだろう?
私も教育熱心で支配的な母にいっぱしに悩まされてきて、「母と娘」に関する本は割と読んできた。
↓特にこの中に出てくる女性は「私か!?」と思ったほど。
私は、離婚して母ひとり子ひとりで娘を育てている。
他の大人といっしょに生活していない娘にとって、私は生死にかかわるレベルで影響力MAXの「おとな」なのだ。母との関係、娘との関係、その狭間で、いつも「良き母とは?」と自問してきた。
私の都合で娘は0歳から保育園にお世話になっている。幼児のころから1日10時間は離れ離れ。
手作りのおやつなんて、作ったことない。
くつしたなんて、編んだことない。
小学校で必要な手提げと上履き入れ、ぜんぶイトーヨーカドーで買ったもの。縫い物なんてしなかった。
年に二回は、寝坊する(登校班が一緒のお母さんが押したインターフォンの音で起きる恐怖よ!)。
疲れているときは8時過ぎでもばたんきゅーだし、休みの日は9時過ぎまで寝てるし。
それでもね。
私は自分を、「良き母」だと思っているよ。
私の思う「良き母」とは第一に、
●衣食住+教育を提供すること
この4つの要素をその人の環境的が許すレベル(経済的物理的時間的に)で整えてやることが前提として大事だと思う。
「そんなん当たり前だろ!?」って思われるかもしれませんが、ニュースになるほどの身体的虐待をしている人でなくても、このフォース・エレメンツがいびつな親たくさんいますよ。
すごーく教育熱心で高学歴な親御さんがいらっしゃる娘の友達が、
「お勉強するために朝5時半には起きてる。朝ごはんを食べる時間がもったいないから、だいたい朝食はラムネ2個くらいなの」
って言ってるのを聞いたときには嘘であってくれ…!と願いましたね(小学2年生くらいになると、人の気を引きたくて嘘をつく子なんてたくさんいます)。
「最初はお腹すいてたけどもう慣れた。給食もあるし」
って淡々と話すお友達を見たときの虚無感たるや。
娘の友達の親に、愛情がないとは思わない。「当たり前」を当たり前に提供するのは、結構大変なんです。
そしてね、「良き母」第2条件が、
●支配しないこと。子どもの意思を尊重すること
だと思うんだ。
要は「子どもを自分と独立したイチ人格として扱うこと」なんだけど。
- 第1条件に比べると、達成している人がすごーーーーーく少ないんだよね体感上。
特に母親は、同性である娘に対して「私の分身♡」って感覚を持っている人が多いように感じます。でもそれって、母の思考希望思惑に左右されて人生の選択肢を選んでいく娘を量産し不幸にさせる哀しい連鎖を引き起こすし、真の意味で子どもを「大切」にしていないと思います。
私はね、
バレエなんて母親に無理やり習わされてお願いだからやめさせてくれって頼んだくらいのバレエ嫌いだけど、
あなたがやりたいのなら応援する。
イトーヨーカドー であなたが選んだ手提げ袋がラメのハートに"Sweet Love"って刺繍されたくそダサいしまむら的センスのものだとしても、
あなたがそれを気に入り学校で使いたいのなら購入する。
もちろん、躾や教育に基づいてあなたの意思を否定することもあります。
でも、「あなたのためを思って」を錦の御旗にして友達とごはん食べてるところに勝手に来襲したり、ゼミの先生に付け届けを送ったり、予定も希望も聞かず旅行の予約を入れたり、日記をこっそりチェックするようなことは絶対しません。
だから、私は良き母です。
30代ママ向けファッション雑誌の「1か月着回しコーディネイト」に添付されている日記のように、才色兼備かつファッショナブルかつ仕事(クリエイティブ系)もできて、家事育児夫の相手ができるママを目指さなくていーんです!(川平慈英風に)
「今日は夫に光宙をみてもらってテーブルコーディネイトのお教室へ☆クリスマス用のアレンジ、おウチでも真似したーい!」って全部ライターさんの苦労の産物ですから気にしなくていーんです!!
上述しましたように、衣食住教育の用意、それに支配しなきゃ良き母でいーんです!!!
だから私は良き母です。
もちろんあなたも良き母です。
私たちは、良き母です。